インハウスエディター

2021/06/18

自社の情報発信における重要ポジションとして「インハウスエディター」が注目を集めています。注目を集める背景と、そのポジションがもたらすメリットとともにご紹介します。

「インハウスエディター」とは?

エディターとは編集者のこと。編集者の仕事は多岐に及びますが「情報発信のためのコンテンツ制作において、内容や進行を管理および担保する監督役」と言えるでしょう。

たとえば雑誌作りにおける編集者は、その雑誌のトーンやテーマを把握し、それに合った特集や記事を企画。それぞれの内容に最適な書き手に文章やコピーを発注し、イメージに近い写真を撮るフォトグラファーと写真を作り上げ、それらの素材をデザイナーとともにページに落とし込みます。

「インハウスエディター」とは、企業が雇用している(インハウス)編集者(エディター)のことを指します。自社の目的に合わせた最適な情報発信を行うためには、企業のことをよく理解している社員が発信内容の作成や管理を行うべきとして設けられるポジションであるケースが多いようです。

編集ファーム経営者、DeNA「フルスイング」元プロデューサー、フリーランス・ブランドエディターが考える、採用において“編集”が果たす役割(前編)

なぜ、「インハウスエディター」が重要なのか?

特に採用の領域において、現在では、情報技術の発達に伴い求職者の情報リテラシーも向上し、興味を持った企業の文化や理念についてもしっかり評価した上で応募を検討する、という傾向も見られます。求職者に選ばれる企業となるためには、業務内容や給与額といった、他の企業の求人情報にも共通している項目だけでなく、自社の空気感や組織文化、職場の風土などが伝わる情報の発信が今後ますます求められていくと予想されます。

しかし、とにかく「うちはこんなウリのある会社ですよ」など、自社が伝えたいことだけをなんでも発信すればいいというわけではありません。特に採用では、求める人材像によって、自社のどんなところに興味を持ってもらえるのかが変わります。そのため、現在の事業の方向性や取り組むべき課題や施策など、自社のおかれている状況を整理し、発信するべき情報の選定が必要です。その上で、求める人材に届けるためにはどのように伝えれば良いかをしっかりと考える必要があります。

こうしたことから、発信する情報やコンテンツの企画とディレクションを行う人材である編集者を自社で雇用しようというケースが見られるようになってきました。

編集ファーム経営者、DeNA「フルスイング」元プロデューサー、フリーランス・ブランドエディターが考える、採用において“編集”が果たす役割(後編)

「インハウスエディター」に求められるスキル

・コミュニケーション能力
「インハウスエディター」には、編集者としての経験はもちろん、高いコミュニケーション力が求めらる傾向にあります。求める人材に知って欲しい自社のメッセージを的確に伝えるコンテンツを制作するためには、部署や役職をまたいで、社内のさまざまなメンバーとコミュニケーションをとる必要があります。応募者を含めた社外の人材とも接点を持ち、外側から自社がどのように見えているのか、どこに魅力を感じ、どこに不安を感じているのかなども、高いアンテナを張って、情報収集する必要があります。

・デジタルへの対応
世の中の情報リテラシーの向上と共に、次々とデジタルサービスやデジタルツールが生まれています。多くの人に使われ、当たり前のようになるものもあれば、ほとんど知られることもなく終了するものもあります。「インハウスエディター」は、発信する内容や目的に応じて、最適なツールを選択し、発信チャネルとして活用していくことが求められます。そのため、こうした最新のサービスやツールに対する知識や、それを活用したコンテンツ制作のノウハウといったデジタルリテラシーは、今後ますます重要性を増していくと予想されます。

・クリエイターとの関係構築
「インハウスエディター」の役割は、自社に関する情報発信のプロとして、伝えるべき人、伝えたい内容を自身で責任を持って確定させていくことです。ただ、それらを実際にコンテンツに落とし込んでいく際には、ライターやフォトグラファー、動画作成者などの社内外のプロフェッショナル達と目的に応じた適切なチームを作ることが必要です。そのために、社内外にそういったプロ達とのリレーションを日頃から築いておくことが重要です。

 

監修:株式会社 人材研究所

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