なぜ「高付加価値人材」を獲得できないのか? ~求職者の変化よって生じた2つの要因

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「求めるレベルの人材が確保できない」
「優秀な人材が早期離職してしまう…」
事業推進を加速してくれる「高付加価値人材」の獲得は、なぜここまで難しくなってしまったのでしょうか? 激しい人材獲得競争の背景には、少子高齢化など単純な需給バランスの変化だけではなく、より大きな時流の変化が起きています。企業の採用難を生んでいる2つの要因を解説します。
- 要因① 選職リテラシーの急激な進化
- 要因② 「働き方」価値観の多様化
要因① 選職リテラシーの急激な進化
近年スマホ等の普及により、生活者の受け取る情報量が爆発的に増えています。その結果、求職においても「自分にとって無意味な情報」をいかに排除し、「自分にとって有益な情報」をいかに鮮度高く収集するかという、無意識下の選職リテラシーが急激に高まっています。
もともと「一次的な人のつながり(友人・家族・同僚)など」から得られる情報が、SNSというツールによって一気に広がりを持ち、信頼性の高い一次情報(リファラル)の獲得が容易にできるようになったことが、情報収集行動変化の背景にあります。
特に優秀な人材ほど情報収集のリテラシーが上がりやすく、消費や娯楽などの情報収集と同様に、「企業選び」「仕事探し」の方法も大きく変容しています。
また、スマホ・ネイティブ世代の登場によって、あふれる情報の中から自分にとって重要な情報を自然に集める「情報引き寄せ」という、新しい情報収集行動もみられるようになりました。
- 広告や情報をとりあえずタップすることで、リターゲティング広告手法によって必要な情報が集まりやすくなるようにしておく
- 気になったページをスクリーンショットで保存したり、SNS情報もブックマークを使って貯めておいたりする
- リツイートやインフルエンサーのフォローで情報が集まるようにする
など、シーンや目的ごとに情報収集のバリエーションも増えています。
つまり求職者において、“売り込み側”の企業が伝えたい「(宣伝色を感じる)自分にとって無意味な情報」をいかに排除し、「(リアルであると感じる)自分にとって有益な情報」をいかに鮮度高く収集するかという、無意識下のリテラシーが急激に高まっている状況です。
この流れは当然のことながら「検索」という能動的な情報収集においても顕在化しています。専門的で高いスキルを持った人材ほど、詳細でマニアックなキーワード検索や複合的なキーワードの掛け合わせで、情報の海から必要な情報を最短距離で抽出する方法を熟知しています。
求職者サイドの検索の最適化が進化している以上、募集情報のフロント面にあたる求人情報そのもののワーディングの精緻化は、採用戦略を実現する前提条件となっています。
しかし、実際の採用現場において、その選職リテラシーの進化への対策が十分に講じられている企業はまだまだ少ないのが現状です。
要因② 「働き方」価値観の多様化
ブラック企業、パワハラ、アルハラなどのネガティブワードをきっかけに広がった「働き方改革」という言葉も、すでに馴染みのあるキーワードとして定着しています。20年以上前から、工業社会から情報化社会への移行が課題だと言われ続けてきましたが、その波がようやく日本企業の現実の職場に波及してきたと言えるのかもしれません。
革新的テクノロジーが次々に出現することで一気に価値観が多様化し、高学歴、大手企業、ハードワーク、昇進、一辺倒だった昭和的・同調的な働き方は急激に陳腐化。
ベンチャーや起業、パラレルワークなど、自分の価値観を重視し、自分らしく生きるための働き方が加速度的に広がっています。
そして最初は小さかったこの波は、大きな地殻変動となってリクルーティングの世界を塗り替える変革となっています。
- その企業が社会に提供している価値は?
- その企業が実現していきたいビジョンは?
- そこに自分は共感できるのか?
- 自分が生きる時間をともにしたい仲間はいるのか?
ただ、生きていくためだけの“ライスワーク”ではなく、今や一人一人の個人が“ライフワーク”を求めて企業選び、仕事探しをしています。
この働く側の意識の大変革の中で、自社が求める人材から、いかに選ばれる会社になれるかどうか、が企業の成長と生存の最大のカギとなっています。
求職者の変化に対応するための新しい採用手法
企業は、求職者の変化に対応した採用活動を行わなくてはなりません。
- 選職リテラシー(情報収集・情報選別力)の進化に合わせて、企業が主体となって情報発信し、
- かつ 多様な価値観を持つ人材に選ばれるため、「意味報酬」を中心に伝える
必要があります。
しかし、多くの企業では人材要件定義を曖昧にしており、必要なスキルや自社の価値観といったメッセージを届けることができていません。そのため、高付加価値人材と出会いにくく、アンマッチが起こりやすくなっています。
このような状況がある中で、求職者の変化に対応し、求職者に対して自社主体でメッセージを発信する手法として、いま「オウンドメディアリクルーティング」に注目が集まっているのです。