現場を巻き込んでオウンドメディアを運用していくノウハウを公開! BASEのスクラム採用に迫る

2020/12/16
現場を巻き込んでオウンドメディアを運用していくノウハウを公開! BASEのスクラム採用に迫る

BASE株式会社(以下、BASE)は2012年、ネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」を運営する企業として誕生。事業開始から約8年で日本最大級のサービスに育ち、これまでに120万以上のネットショップが生まれている。2018年には決済事業を行うPAYを分社化し、金融事業のBASE BANKを新設した。2019年10月には東証マザーズに上場し、事業領域・規模はさらに広がっている。

事業拡大に伴い、現在BASEでは積極的な採用を実施中だ。プロダクトマネジメントやエンジニア、カスタマーサポート、労務や法務、さらには特定領域の責任者候補まで様々な職種で、自社のプロダクトに魅力を感じ、ミッションに共感する人材を求めている。

BASE コーポレートサイト動画キャプチャ
企業のミッションは「Payment to the People, Power to the People.」。コーポレートサイトでは動画を活用してミッションを伝えている。

BASEの求職者へのアプローチは、主に採用オウンドメディアを通して、潜在的・顕在的な求職者と接点を持ち、カルチャーを訴求する「シェアードバリューコンテンツ」の発信にある。

今回はBASEの2つのオウンドメディアを制作・運用している採用マネージャーの米田愛氏をインタビュー。いかにして自社の魅力を伝えているか、メンバーを巻き込む方法や運営を続けるノウハウ、全社的な採用プロジェクトにおいて採用責任者が担うべき役割などを語ってもらった。

米田愛氏。BASE株式会社 社長室 採用マネージャー。1993年生まれ。中央大学法学部国際企業関係法学科卒業後、ワークスアプリケーションズに入社し、EC通販パッケージシステムの新規営業を担当。2018年4月、BASE株式会社に人事・採用担当として入社し、BASEグループ全体の採用に関わる。2019年10月より採用マネージャーを務める。

自社のカルチャーと、エンジニア向けの専門情報を、2つのメディアで発信

BASE Book キャプチャ
オウンドメディア 「BASE Book」。メンバーのインタビューのほか、インターンの体験記、最新のイベントレポートなど多彩なコンテンツが公開されている

――BASEでは採用を目的とした2つのオウンドメディア「BASE Book」「BASE PRODUCT TEAM BLOG」を運営されていますね。それぞれの役割をお教えください。

米田 まず「BASE Book」について説明します。「BASE Book」ではメンバーインタビューを中心に、イベントレポートやプロジェクトの紹介などを行っています。メンバーに自身の声で業務内容や仕事の面白さ、やりがいといったことを紹介してもらうことを目的にしています。BASEのミッションやカルチャー、社内の雰囲気や制度などを、実際の声を通じて感じてもらいたいと考えています。

登場するメンバーは全職種が対象です。出演依頼は私から直接行うことが多いのですが、誰に依頼するのかはメディアのバランスを見たり、社内のプロジェクトの動向を追ったり、時には広報担当などに相談して情報を集めて決めます。「BASE Book」では現在、月に4本程度の記事を継続的に公開しています。

――もう一つの「BASE PRODUCT TEAM BLOG」はいわゆる「ブログメディア」ですね。

米田 はい、「BASE PRODUCT TEAM BLOG」では主に社内のエンジニアに自身の仕事や関心のあるテーマなどを書いてもらっています。こちらは社外のエンジニアに向けて認知を広げていくためのメディアです。

――内容を拝見すると、実際にエンジニアの方が書かれているとあってかなり専門的な内容のものが多いですね。どのように企画・制作をしているのでしょうか。

米田 企画については、エンジニアリングマネージャーなどが参加する編集会議を月に2度開催しています。そこで社内のプロジェクト状況を考慮した上で、どのテーマで、誰に書いてもらうかを決めています。

私にはエンジニアの経験がないので、取り上げるテーマについては基本的には現場に委ね、あくまで採用の観点から意見を伝えるようにしています。新規の原稿は月に5~6本。上がってきた原稿のチェックは主にCTOや他のエンジニアの視点で、社外秘の情報や技術的に誤った内容などがないかなど、補足的なものにとどめています。

――なぜ、エンジニアという職種だけメディアを分けているのでしょうか。

米田 これはIT業界全体に言えることかと思いますが、エンジニアの採用は年々難しくなり、企業間の採用競争が激しくなっているという状況があると感じています。それに加えてBASEではサービスの規模が拡大していることもあり、業務に必要なスキルや経験も上がっています。

BASE事業に関しては現在、約50人のエンジニアが在籍していますが、ショップオーナーさんに必要なプロダクトを提供し、企業としてのミッションを果たしていくには、まだまだメンバーが必要です。BASEにマッチするエンジニアを採用するためには、社内で活躍するエンジニアの声を直接届ける情報発信が必要だと考えているのです。

候補者の方とのカジュアル面談やスカウトメールの返信などで「ブログを読んで興味を持ちました」とおっしゃる方もいて、採用活動のツールとして機能していることを実感しています。

メンバーの協力を得ながら情報発信を継続していくための工夫

米田愛氏

――オウンドメディアを使って情報発信に取り組もうとしても、社内の協力体制・運用体制などの問題でなかなか実現が難しいケースもあるようです。どのようなことに気を付けているのでしょうか。

米田 実は、BASEで採用に関する企画業務を行っているのは私のみで、私自身、企画業務以外の採用業務の大部分も担っている状態です。

制作にあたっては、現場の負担を極力かけないことを大切にしています。ありがたいことに弊社はドキュメントを残す文化があり、ドキュメント共有ツールにて他のメンバーが書いた多くのドキュメントを見ることができるので、その中からブログ化して公開すると価値のありそうなものを見つけて執筆の打診をしています。記事のテーマや内容はすでにある状態なので、執筆する側の負担も大きくないのがポイントです。

その他に気を付けていることは「依頼のタイミング」です。特に「BASE PRODUCT TEAM BLOG」では、多忙なエンジニアに記事を書いてもらう必要があるため、各チームのマネージャーと相談して業務の状況を見計らい、プロジェクトが一段落するタイミングなどに合わせて依頼するようにしています。

――それらのオウンドメディアを「継続」するためにはどうすればいいのでしょうか。

米田 発信したコンテンツをできるだけ社内で共有し、話題にすることが重要だと思います。公開後はメンバーに積極的に拡散してもらえるように働きかけています。実際、CEOや役員もSNSでシェアしています。

このように、公開後もしっかりフォローすると、次に取材を受けてくれる人や、書いてくれる人がやりやすくなると思っています。前例を参考することもできますし、同じチームのメンバーも書いているから自分もやってみようというように、心理的なハードルを下げることもできますし、何より「メディアでの発信がごく当たり前のこと」という空気づくりは非常に重要だと考えています。

また、オウンドメディアが採用にどれだけ貢献しているかを定量的に測ることは難しいですし、PVやコンバージョンなどを意識しすぎると運営が疲弊する可能性があるので、まずはメディアとして「発信を継続すること」を目標としています。

採用チームは“PM”に徹し、各チームの採用活動を支援する

――これらの情報発信はどのような成果をもたらしているのでしょうか。

米田 具体的な数値としては見えにくいのですが、候補者の方から「BASE PRODUCT TEAM BLOG」や「BASE Book」の記事を読んで興味を持った、理解が深まったなどの声をしばしばいただくので、プラスに働いていることは間違いありません。

また、コンテンツは一度発信したらそれで終わりというわけではありません。たとえば「BASE Book」で発信したインタビューなどは、私たちが直接採用を行う場合のスカウトメールに資料として添付したり、人材紹介会社さんへ共有したりするなどして活用していますし、ほかのコンテンツもカジュアル面談の際の資料に使っています。

もちろんメディアでの情報発信が主目的ですが、社内のさまざまな情報をコンテンツ化することで、採用チームの負担を軽減することにつながるのです。

採用チームのリソースが少ないからこそ、コンテンツをフル活用する。情報発信によって採用活動にレバレッジをかけるという考えです。私たち採用チームの活動はこれらの「メディア」を中心にリソースをかけています。

――メディアに注力してリソースをかけるとなると、個別の採用施策は行わないのでしょうか。

米田 もちろんメディア以外の採用施策も行っていますが、私たち採用担当チームは、自チームのメンバーの採用以外は基本的に個々の面接や選考に加わることはありません。直接採用やリファラル採用を含めて、実際の採用活動は現場が主体となります。

BASEでは現場と協力して採用活動に取り組む「スクラム採用」を行っています。これは各チームのマネージャーやCTOなどが中心となって採用計画を決め、面接から選考までを行います。各現場で必要とする人材や適した人材といったことは、現場がもっともよく知っているので、チームとのマッチ度や短期ではなく中長期的にご活躍いただくことを重要視している弊社では、「スクラム採用」という手法はマッチしていると考えています。

私たち採用チームは、採用計画の取りまとめや会社全体の採用戦略の立案・推進、各チームの採用活動の支援、日程調整業務などの各チームで行う必要のない業務を担っています。

私は、採用チームの役割は、全社の採用プロジェクトにおける「プロジェクトマネージャー」のような立場で、採用活動全般をプロデュースすることだと考えています。社内の取り組みや状況、課題だけでなく、採用市場の動向やトレンドなど、常に社内外に目を向ける姿勢が求められると思います。

――最後に、現状の課題や今後の採用施策についてお教えください。

米田 特にエンジニア採用においては、より多くの方を採用するために、採用活動が大きくスケールするような体制や手法のアップデートが必要だと考えています。そのための重要な手段の一つとしては、やはりオウンドメディア等のレバレッジが効く情報発信だと考えています。

ちょうど先日、「エンジニア向けの会社紹介資料」を公開しまして、こういった採用候補者が知りたい情報が体系的にまとまっているコンテンツの作成・伝達に注力していこうと考えています。

また、採用サイトに限らずどのチャネルを活用するにしても、情報発信の前提はBASEのミッションや実現したい未来を伝えることです。思い描いている未来や目標をしっかり語るとともに、それに対する現在の状況や課題なども明らかにする必要があります。その上で、課題解決に向けた取り組みを説明し、「面白い」「やりがいがある」と感じてもらえるようにしていきたいと考えています。

https://indeed-omrj.com/post-0104
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