ユーザー層も見据え幅広く届ける情報設計。「最高のコンテンツを作る会社」Cygamesが挑む採用ブランド戦略

2022/03/04
ユーザー層も見据え幅広く届ける情報設計。「最高のコンテンツを作る会社」Cygamesが挑む採用ブランド戦略

クロスメディアコンテンツ「ウマ娘 プリティーダービー」やソーシャルゲーム「グランブルーファンタジー」を筆頭に数々のヒット作を世に送り、アニメやマンガ、イベントとの融合でエンターテインメントの新領域を開拓し続けるCygames。幅広くファンを獲得し、関係性を築いていく手法は、ゲームのみならず、採用における情報発信でも健在である。

この度、同社は求職者のニーズにマッチしたコンテンツと、SNSや採用サイトとの連動性の高さが評価され、「Owned Media Recruiting AWARD 2021」に入賞した。

Cygames広報チームの鷲山智穂氏に、アワードで審査員を務めたサイボウズ人事本部 部長の青野誠氏が、オウンドメディア「Cygames Magazine(以下、サイマガ)」を中心に、採用の視点からオウンドメディア運営のポイントを聞いた。

鷲山氏 プロフィール
鷲山智穂氏。広報チーム。大学卒業後、Web制作会社に新卒入社し、多数のコーポレートサイトやサービスサイト、ブログ型メディアの制作・運用に携わる。2019年にCygames入社後、「Cygames Magazine」の運営スタッフとしてオウンドメディアの戦略設計やアクセス解析、記事制作などを担当。

ビジョンである「最高のコンテンツを作る会社」に基づいた情報発信

鷲山氏 青野氏 インタビューカット

青野 この度は、「Owned Media Recruiting AWARD」(以下、アワード)での入賞おめでとうございます。受賞後の社内外の反響はいかがでしたか。

鷲山 ありがとうございます。社内では口頭でお祝いの言葉をかけられたり、Slackを介してたくさんの反応をもらったりしました。また、PRに携わる外部パートナーの方々からも、お祝いの言葉やメッセージをいただきました。サイマガは多くの方の協力があって成り立っているとあらためて感じました。

Cygames Magazine サイマガ トップ
サイマガでは採用に関するコンテンツだけでなく、ゲームやサービスの紹介など、一般ユーザー向けの情報も掲載されている

青野 サイマガは、採用力強化と自社ブランディングの2つの機能を持ち合わせていると伺いました。

鷲山 はい。1つ目の採用力の観点では、働く場としてのCygamesを示し、求職者が応募を検討しエントリーをしてくださるように促すオウンドメディアリクルーティングとしての機能です。

2つ目に、スタッフたちのゲーム作りへの姿勢や制作の裏側を見せることで、ユーザーのみなさまに、ゲームタイトルだけでなく、Cygamesという会社を知ってもらい好きになってもらう、より広い意味での広報としての機能です。

青野 自社のブランディングと言っても、採用の要素を絡めるとなるとバランスが難しいですよね。メディア運営には人事の方も入っているのですか。

鷲山 採用現場での情報を最も把握しているのは人事のスタッフですので、広報と人事が連携して運営しています。広報と人事の共同プロジェクトとして立ち上がった経緯もあり、運営フェーズ以降の編集会議や記事制作においても意見を出し合いながら協力して進めています。

青野 広報と人事で意見が割れることはないですか。

鷲山 幸いほとんどありません。コンテンツ制作に当たり、立ち上げ初期の段階で編集方針をすり合わせて言語化したことが役に立ったと思っています。作る側の目的意識はもちろん重要ですが、なによりもまず読者が「面白く読めるもの」であるべきだという理念をメンバー間で共有しています。これは当社の「最高のコンテンツを作る会社」というビジョンに基づいています。

採用目的のコンテンツであるスタッフインタビューでも、求職者の方々が、業務理解を深めつつも「この人たちと一緒に働きたい」と思えるような内容であるかを常に意識しています。

オウンドメディアリクルーティングの観点から見る、効果的な採用ページや採用コンテンツの考え方についてはこちらもご覧ください

あらゆる社内資産を有効活用し、オリジナリティを生む

サイマガ 仕事百科
「仕事百科」では、対象となるポジションの業務内容が、圧倒的な情報量でありながら、メリハリのある読みやすいコンテンツとしてまとめられている

青野 サイマガには、「仕事百科」という業務紹介のコンテンツもありますね。これはどのような考えで作られているのでしょうか。

鷲山 Cygamesには、「当たり前のことを当たり前にやる」という文化があります。主なプロダクトとしてゲームを作っており、開発現場では様々なドラマがありますが、ふだんの業務自体は常に華々しいものとは限りません。

インタビュー記事も等身大のスタッフの姿を見せるようにしていますが、語りだけで伝えようとすると、キラキラした印象だけを与えかねません。「この会社はすごい!」「すごい人がいる!」というのも、求職者にとってはエントリーの動機となるでしょう。しかし“すごいこと”というのは、地道なことの積み重ねによって生まれると思っています。会社が大切にする姿勢を伝えることも、オウンドメディアの役割かと考えています。

青野 それにしても、それぞれの職種の業務とゲーム作りにおける位置づけなど、丁寧に描かれていますよね。これだけのクオリティと情報量はすぐに実現するのは難しいと思います。

鷲山 当社には新しく入ったスタッフ向けに、各部署の業務をマネージャークラスの者が説明するプログラムがあります。この研修を私自身も受けて、部署間の連携の重要性に気付けたり、仕事に対するマインドセットを学べたりして、とても有意義で面白いと感じました。

これをサイマガでも活かしたいと考えて企画したのが「仕事百科」です。プログラムで使われているスライド資料をベースに、追加取材で情報を補いつつ、WebメディアとしてSEOの要素を取り入れたりして記事を制作しています。

青野 なるほど。アワードでも「記事のクオリティが突出している」と審査員の間で話題になりました。仕事百科に限らず、全体の質がうまく担保されていますよね。あと驚いたのが、イラストなどのビジュアル素材です。描き起こしのイラストが使われていますね。

鷲山 主にゲーム内に登場するデフォルメキャラや4コママンガなどを中心に制作する「コンテンツチーム」が存在します。そのチーム内には広報物などで用いるイラストや図版などを専門に制作しているチームもありますので、そちらにお願いしています。

コンテンツ内 オリジナルイラスト
社内のコンテンツチームが手掛けるイラストが挿入され、コンテンツのオリジナリティが増している

青野 そうしたチームが社内にあるのですね。会社や仕事のことをよく理解しているでしょうから、心強い味方ですね。ところでインタビュー対象のスタッフや記事のトピックは、どのように決められているのでしょうか。

鷲山 サイマガ編集部のメンバーは人事と我々コーポレートの広報の他に、各サービスの広報担当が集まって構成されています。それぞれがあらゆる情報や記事トピックを持ち寄って、サイマガという場を効果的に活用しようとしてくれています。現場のスタッフもプロダクトに強いこだわりがあるので、取り上げられることは喜んでくれます。良いブランドを築けるかが自分たち次第という想いもあり、前向きに捉えてくれています。

青野 オウンドメディアを長く継続させるには、周りのスタッフの協力が不可欠です。「共に働く仲間の採用は自分たちで考える」という発想になると心強いですよね。

求職者とユーザーの自社への関心度に合わせた情報レイヤー

インタビュー動画「10 Questions」
編集部内の動画企画担当と社内の映像制作チームが連携して制作している動画コンテンツ。スタッフそれぞれの思考や個性が垣間見える内容となっている

青野 アワードの審査では、サイマガと、採用サイトやSNSとの連動性も評価ポイントに挙げられていました。

鷲山 サイマガの記事から採用サイトへの導線は、ヘッダーに「RECRUIT」のリンクを入れる、関連ポジションのジョブディスクリプションへのリンクボタンを設けるなど、アクセス性を高める工夫をしています。

SNSはTwitterが中心です。ゲーム業界ではTwitterが主戦場なので。自社のアカウントに加え、個別のサービスのアカウントでもサイマガの記事をシェアしてもらうことで、広く拡散しています。

青野 求職者だけでなく、エンドユーザーにも届くようにしているのですね。転職を考えていなかった潜在層に対しても、関心を引くきっかけになりそうです。

Twitterも、多くの場合、採用目的で独立したアカウントを作りがちですが、広範囲に発信するために既存のアカウントを活用するという、効率のいい訴求を設計されていて、とても興味深いと感じました。

ちなみに、Twitterはいいねやリツイートなど、わかりやすい数値がありますが、サイマガの効果検証はどのように行っているのでしょうか。

鷲山 指標としているのはPV数やUU数など、ごく一般的なものです。それ以外には、記事ごとの読了率も注視していますね。それから、年に1度ユーザーにブランディング調査を実施していて、その際にサイマガについても聞いています。特定の記事の認知度をはじめ、閲覧の程度とゲームのプレイ頻度やロイヤリティとの相関の調査もしています。

採用の面で言えばPVは確実に向上していて、特に求職者向け記事は2021年9月までの約1年間で、前年の2.95倍になりました。エントリー時に実施しているアンケートでも、応募のきっかけにサイマガを選択される方が増えています。

青野 ハイクオリティな記事コンテンツが充実しているなか、「サイマガTV」など動画の活用も始めていますよね。片や採用サイトにある会社案内は、PDFファイルでスタッフインタビューを中心にテキストをより読み込ませる作りになっている。様々な形式のコンテンツが存在していますが、ねらいがあるのでしょうか。

鷲山 動画に関しては、オウンドメディアの運営を続けていて、テキストコンテンツの限界を感じることがあったのが大きな理由です。サイマガも現状は記事が中心で文章のボリュームがかなりあります。会社のことを深く知っていただくためにはそれなりの文章量が必要ですが、「文字を読む」のはけっこう労力がかかります。対象にある程度関心がなければ、最後まで読みきるのは難しいと思っています。そのため、潜在層やユーザーのみなさんの存在を考えると、そのハードルを下げる工夫も必要です。

一方で、すでにCygamesに興味を持っていただいている方は、当社のより詳しい情報を知りたいでしょうし、こちらとしても知ってもらいたい。ですので、会社案内はテキストベースで密な情報を詰め込んだものにしています。

青野 届ける対象に合わせて情報のレイヤーを作っておくのですね。動画など気軽に見られるもので興味を引きつけ、もっと詳しく知りたいという人はじっくりと味わうコンテンツと。関心のレベルによって、欲しい情報も変わってきますしね。

Cygames 会社案内 2021
会社案内はスタッフインタビューをベースとし、より志望度の高い求職者へ向けて仕事やプロダクトへの想いを語るものとなっている

未来の作り手を開拓するオウンドメディアの可能性

青野 今後に向け、オウンドメディアリクルーティングの展望があればお聞かせください。

鷲山 直近のところでは、仕事にまつわる記事を増やすことですね。現状、サイマガでは全職種の3分の1ほどしか紹介できていません。

また、ミッションステートメントの一つとして組織に根づく「チーム・サイゲームス」の価値観を打ち出していくことも、大きなテーマです。これまでどおり個々の仕事にスポットを当てつつ、今後は部門間のコラボレーション事例を示しながら、キャリアの広がりや可能性を伝えることを意識していきます。

青野 作り手の真摯な姿を見せることで、ゲームに対するステレオタイプでネガティブな印象を払拭するなど、業界全体のイメージ向上に寄与する役割もありますね。

鷲山 そうですね。オウンドメディアリクルーティングを広い視点で捉えたときに、将来の求職者に向けての情報発信も大切です。現在、弊社のコンテンツを楽しんでくださっているユーザーの方々に加えて、大学生や高校生、小中学生の方々にも届けられたらと思っています。

弊社ではCSR活動として、グループ会社である「CA Tech Kids」と連携して小学生向けのプログラミングコンテストやワークショップを開催しており、そういった活動の模様をオウンドメディアの場で取り上げることも重要だと考えています。

ただ、ゲームクリエイターに興味を持つ若い方々やお子さんたちにより理解を深めていただけるような情報発信をしていくとなると、オウンドメディアも、もっと多くの見せ方や展開があるのではと、最近より強く感じるようになりました。

例えばオウンドメディアを起点とした、読者や読者の方のご家族と交流できるようなイベントを開催するなど、記事に留まらない取り組みも実施していけたらいいなと思います。

青野 業界の未来も見据えて潜在層に呼びかけるとは、素晴らしい発想ですね。今日はファンの獲得から採用につなげる部分で、設計の緻密さを伺い知ることができました。私もたくさんの学びを得られました。ありがとうございました。

ビジョンやパーパスの発信を含む企業カルチャーの考え方については、こちらもご覧ください

https://indeed-omrj.com/post-0178
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