リアルとデジタルを使い分け、“候補者を育てる”ファイブグループのハイブリッド採用

2022/05/18
リアルとデジタルを使い分け、“候補者を育てる”ファイブグループのハイブリッド採用

「居酒屋いくなら俺んち来い。」や「スパゲッティーのパンチョ」など、首都圏をメインに30を超える飲食ブランドを展開する株式会社ファイブグループ。働く従業員が楽しんでこそ満足できるサービスを提供できるという考えから、マニュアルに頼らない店舗運営や独自の人事施策を取り入れていることで知られる。

全従業員の8割を占めるアルバイトスタッフの採用に注力する同社は、店舗を採用候補者との“タッチポイント”として有効活用している。また、採用メディアとして運用するnoteの公式アカウントでは、様々な社内施策の紹介や社員・アルバイトのインタビューに留まらず、常連客まで登場するなど、あらゆる面から同社の社風が紹介されている点が特徴的だ。

店舗運営と採用情報発信の関係、オウンドメディアが採用で果たす役割について、人事総務部の渡邉大地氏と経営企画部の式地知美氏に聞いた。

式地氏 渡邉氏 プロフィール
式地知美氏(左)。経営企画部 課長代理。ファイブグループの居酒屋店舗でのアルバイトを経験し、「“楽しい”をつくる」という会社の価値観に惹かれ、そのまま社員就職。約5年間の店長経験を経て、2019年にコーポレート部門へ社内転職。2020年より本格的に広報を担当し、会社PR、採用広報、社内報など広報全般の領域を1人で担当。

渡邉大地氏(右)。人事総務部 課長。大学卒業後、NPO団体に所属し、静岡からカンボジアへ。カンボジア全国の小学校体育教育の普及事業に携わる。帰国後、株式会社リクルートに営業職として入社。広告媒体企画営業とチームマネジメントに従事した後、当時から縁のあったファイブグループへ入社。新卒を中心に採用から育成計画までを担当。

メインのアルバイト採用は、店舗を“タッチポイント”に情報発信を行う

式地氏 インタビューカット

――ファイブグループの事業や採用活動の特徴を教えてください。

式地 事業の柱は飲食店運営です。関東を中心に約130店舗を展開しています。「21世紀を代表する飲食カンパニー」を目指すべく、居酒屋や焼鳥店、洋食店など多角化を意識し、店舗開発を行っています。そのほか、飲食・接客業向けの社内コミュニケーションプラットフォームの開発や、再生可能エネルギー事業なども手掛けています。

渡邉 店舗事業を支えているのはアルバイトスタッフで、従業員の8割を占めます。

幹部候補に当たる正社員は、新卒と中途を問わず毎年継続的に採用を行っています。大きくは飲食プロフェッショナル、事業マネジメント、飲食ビジネス創造の3コースより選択し、将来の目標に合わせたキャリアを築くことができるのが特徴です。

飲食プロフェッショナルという、お客様はもちろん一緒に働く従業員の幸せも追求する姿勢と実力を持った状態を基盤として、より専門的な2つのコースへとキャリアを広げていく、というイメージです。

渡邉 アルバイトからの正社員登用というキャリアパスも重視しています。すでに当社の価値観に共感していただいており、業務の面でも即戦力になるためです。店舗のファンになったことをきっかけに店舗で働き、人のつながりから生まれる楽しさを体感し、理念に共感し、成長と自己実現を叶える場として当社への就職を選択するというストーリーラインの形成が重要と考えています。

――採用情報の発信は、どのように行っていますか。

式地 アルバイトは店舗での募集が中心です。当社は店舗評価に、売上や来客数だけでなく、お客様から「また来たい」と思っていただけたかを可視化したKPIを設けるなど、お客様との関係構築を大切にしています。そのため、お店やスタッフの雰囲気を気に入り、常連様からスタッフに転身するパターンも多くあります。そこで、店内のポスターやPOPから求人情報のQRコードを読み取って、すぐエントリーできるようにしています。

また、各店舗が運営するLINEアカウントがあり、友達登録することでお得な情報や特別クーポンが受け取れたりするのですが、そのアカウント経由で求人案内も発信しています。

正社員は、就活サイトや転職サイトからのエントリーが基本です。

社内報のオープン化で社員やアルバイトのやる気向上と採用ターゲットへの訴求を両立

渡邉氏 インタビューカット

――採用のためのオウンドメディアの運用にも力を入れていますね。

渡邉 2020年に企業理念を見直し、第二創業期として定めたことを機に、採用サイトを含めたコーポレートサイトのリニューアルを行い、グループ全体の広報力強化を図っています。

日頃から多くのお客様に当社の店舗をご利用いただいていますが、「ファイブグループという会社が運営している」ことはほとんど知られていません。私たちの企業理念として「『楽しい』でつながる世界をつくる」うえでも、グループの存在感を高めたいという思いがありました。

式地 そこで2020年よりnote proのアカウントを開設。『ファイブグループ 公式note ~飲食業界×オープン社内報~』をスタートさせ、ブログ記事を定期的に掲載しています。社内報と言いながら、従業員向けだけでなく、求職者の方々や、なかには同業他社様やお客様に向けた記事も掲載しています。

ファイブグループ公式note トップページ
公式noteでは、社員インタビューやイベントレポートのほか、常連客へのインタビューも一般公開されている

――想定されている読者層がとても広いですね。コンテンツの出し分けなど、noteの運用のポイントを教えてください。

式地 おっしゃるとおり出し分けは意識をしていて、記事はシリーズものを中心に構成し、ターゲットと意図を明確にして作成しています。

お客様に対しては、行きつけのお店の想いにふれて魅力を再発見してもらい、またファイブグループが展開する業態のバリエーションを知ってもらう。従業員に対しては、店舗事例を通じて自店の運営に役立ててもらったり、働く仲間の熱意や考えから刺激を受けてもらったりする。そんなねらいです。

――お客さんもターゲットというのが特徴的ですね。

式地 そうですね。冒頭でお話させていただいたとおり、アルバイトの採用に関しては店舗を重要な“タッチポイント”として考えています。お客様に興味を持っていただくことを大切にしているわけです。noteの運用も、企業として「人のつながりを大切にする」というスタンスの発信の一環となります。

ファイブグループ公式note 記事例
従業員だけでなく、店舗に訪れるお客さんも出演し、あらゆる面からファイブグループの雰囲気を伝えられるメディアになっている

渡邉 求職者には面接の前に読んでおいてほしい記事のリンクを、エントリーした業態や職種、ポジションに合わせてピックアップして紹介しています。また、リファラル採用でも特定の記事をリコメンドし、店舗や会社に対する理解促進をサポートしています。

選考状況に応じて次に面接する社員が登場する記事を紹介するので、求職者も当社が大切にしている価値観や面接官の人となりをある程度理解したうえで、面接に臨んでいただくことができていると感じています。

「この会社で働く」イメージを伝えるカルチャーコンテンツはこちら

――ベースは社内報で、それをオープン化しているという形ですが、元々従業員の皆さんが社内情報に関心を持つ文化があったのでしょうか。

渡邉 そうですね。社内報も以前は紙で発行していたのですが、その頃から読んでもらえていたと思います。そこからサイトリニューアルと並行してデジタル化を進め、さきほどお話したようなnoteになり、現在ではそのコンテンツを「5ine」というLINEを用いた社内SNSで発信しています。

5ineは、当社が開発するプラットフォーム「conetto EX」を活用した情報発信です。LINEをベースにした社内SNS機能を持ち、アルバイトを含めた全従業員に、本部や店舗からの連絡や、シフトや給与明細などの通知ができます。従業員側からは、社内手続きのシステムへのアクセスはもちろん、アンケートへの回答やリアルタイムでの問い合わせも可能です。

式地 5ineでは、noteの記事のほか、新型コロナの影響で業務がイレギュラーな状況になった際は、アルバイトさんに向けた社長メッセージや各種助成金、ワクチン接種の案内なども発信しました。

すべての従業員を大切にする姿勢をダイレクトに伝えることでエンゲージメントが高まり、アルバイトスタッフが正社員登用へチャレンジするモチベーションを高めるといった間接的な効果にも期待しています。

社内SNS 画面イメージ
LINEをベースとした社内SNS「5ine」。社員だけでなく、アルバイトも含めすべての従業員がつながり、会社からの発信を受け取ることができる

オウンドメディアリクルーティングで相互理解が深まり、ミスマッチが低減

式地氏 インタビューカット

――オウンドメディアでの情報発信のメリットとして、企業理解の促進以外にはどんなことがありますか。

渡邉 さきほどお話したように、求職者の方には選考に当たって複数本の記事の案内をお送りしていて、面接時に興味を持った記事について聞いています。そのチョイスから求職者の関心事の傾向が垣間見えるからです。

例えば子ども食堂の記事なら社会貢献への関心度、部活動の記事ならチームへの志向性、社長のインタビューならなら経営への興味というように、そこから質問の糸口を見つけて、本人の価値観や考えを深掘りしています。

オウンドメディアでの発信を通じて、求職者には社内の雰囲気や制度を知ってもらい、企業側は求職者のニーズや関心事を知ることで、相互理解が深まりミスマッチが減っているように思います。タイミング的にはnoteのスタートから内定承諾率も上昇し、2021年は65%に達しました。もちろん他の要因もあっての結果ですが、発信の効果は大きいと感じています。

――オウンドメディアリクルーティングについて、今後の課題や展望があれば教えてください。

式地 ここまでお話ししてきたnoteに加えて、冒頭でふれたとおり、特にアルバイト採用においては店舗も採用におけるメディアの一つとして捉え、オウンドメディアリクルーティングを実践しています。

店舗というリアルの場では実際の職場の空気感を感じて、そこで働くことに関心を持ってもらい、デジタルでさらに広く深い情報を伝えていきたいと思います。リアルとデジタルで“タッチポイント”と情報伝達の役割を分けることで、それぞれが補完をし合って良い効果が出ていると感じています。

記事は社内でも好評で、自店を紹介してほしい、記事に出演したいという声もよく聞いています。noteについては、従業員を巻き込んでコンテンツのバリエーションを増やしたいと考えています。

当社は常に、「将来的に起業や独立を考えている行動力のあるような人」を求めています。そうした特性を持った方の興味喚起につながるように、多角的な発信を強化していけたらと思います。

https://indeed-omrj.com/post-0180
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