柔軟なインハウスの制作体制で自社の魅力を発信。ガイアックスの採用動画制作術

2023/02/02
柔軟なインハウスの制作体制で自社の魅力を発信。ガイアックスの採用動画制作術

事業会社+投資会社というユニークな業態を持つ株式会社ガイアックス。そこで働く社員の多くは、将来経営者を目指す起業家人材だ。行動的かつエネルギー値の高い人材を獲得するために同社が力を入れているのが、動画による情報発信とコミュニケーション。

Instagramのリール動画YouTubeなど、それぞれのSNSの長所を活かし発信している。それらの動画は、一言では説明しにくい同社の事業内容やカルチャーを求職者にわかりやすく伝えているだけでなく、構成や編集の完成度も高く、視聴しやすい魅力的なコンテンツに仕上がっている。

同社はIndeed主催による「Owned Media Recruiting AWARD2022」(以下、アワード)において、見事「採用動画賞」を受賞した。管理本部の木村智浩氏と、ブランド推進室のダビドバ・ナタリア氏に、動画を中心としたオウンドメディア運用に注力する採用広報戦略について伺った。インタビュアーは、アワードの審査員であるワンメディア株式会社代表取締役CEOの明石ガクト氏が務め、オンラインによる取材を実施した。

株式会社ガイアックス ブランディングディレクター
ダビドバ・ナタリア氏
2000年、株式会社ガイアックスに参画。エンジニア、デザイナー、Webデベロッパー、クリエイティブディレクターとして数々のソリューション提供に携わる。 2015年より、ガイアックスグループ全体のリブランディングキャンペーンを発足すると共に、本社であるコミュニティビル「Nagatacho GRiD」を新設。 社内外の垣根を超えたコミュニケーションを目指し、最先端のライフスタイルとイノベーション促進に関するイベントを同ビル内で数多くプロデュースした結果、10,000名を超えるコミュニティ形成を実現する。現在は、コーポレートブランドの戦略企画・コンテンツ制作を担当。
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株式会社ガイアックス 管理本部
木村智浩氏
2004年4月にガイアックスに新卒入社。営業、新卒採用、経営企画などを経て、企業向SNS事業の立ち上げから国内シェアNo.1獲得に従事。その後、コンタクトセンター運用改善、ネット選挙事業を経て、現在はコーポレートブランディングに従事。組織や子育て含めオルタナティブなアプローチを探求する四児の父。
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ワンメディア株式会社 代表取締役CEO
明石ガクト氏(聞き手)
2014年6月に新しい動画表現を追求するべくONE MEDIAを創業。2018年に、自身初となる著書『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』を上梓。YouTube Works Awards 2022においては、クリエイターコラボレーション部門代表審査員を務める。Twitter:@gakuto_akashi
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トップの意思決定で動画情報発信を始め、インハウスでコンテンツ制作

授賞式の様子

明石 アワードの採用動画賞の受賞、おめでとうございます。さっそくですが、社内外で反響はあったでしょうか。

木村 社内外とも反響はとても大きかったです。先日も受賞記念のセミナーを開催させていただきました。社内では特にソーシャルメディアの活用支援を行っている事業部が、自分たちの仕事の参考になるものとブランド推進室の取り組みを高く評価してくれました。

明石 スタートアップスタジオであるガイアックスには起業家人材が多く集まっています。動画を拝見すると、そうした起業家精神を持った人物像に対してしっかり興味を喚起してファンを獲得するというコミュニケーション設計が非常によく考えられている印象を受けました。そもそも御社がオフラインでなく、動画を中心としたオンラインによるコミュニケーションに軸足を移された理由や背景についてお聞かせください。

木村 もともと当社はブログやSNSでの情報発信に力を入れていて、社内の日報もTwitterで発信していたくらいなのですが、代表執行役社長兼取締役の上田(祐司氏)が「これからは動画の時代だ」と、かなり早い段階から意志決定をしたのがきっかけですね。

ダビドバ 当社で動画コンテンツの制作を開始したのは2015年です。当時、社内に動画制作のノウハウはなかったのですが、外部の会社に制作を依頼するのではなく、最初からインハウスで制作をスタートしました。ガイアックスは事業自体がユニークなうえ、社内の変化が激しい会社です。そのため、会社の状況や現状の価値観を正確かつスピーディーに動画へ落とし込み発信していくためには、外部に依頼していたのでは間に合いません。そこで、自社内でコンテンツを作った方が良いと判断したのです。

明石 動画制作には普通は専門知識を持ったクリエイターが必要です。ノウハウのないところからどうやってスタートされたのですか。

ダビドバ 私自身、それまでクリエイティブの仕事はしていたものの動画制作は初めてだったので、まずはYouTubeでイチから動画の作り方を勉強しました(笑)。最初に制作したのはグループ企業の動画でしたが、そこからすぐにガイアックスのサービスを紹介したり、社内のキーパーソンをハイライトする動画なども作るようになりました。

そうなるとさすがに人手も不足してきたので、インハウス体制強化のために採用を行ったのですが、カメラマンだけどイラストも描ける、アニメーションも作れるというマルチな方に運良くチームへ加わってもらえたのです。

ロールモデルとなる社員のリアルな姿を発信

チーム写真
全社行事、広報IR、インナーブランディング、カルチャー推進に関わるメンバーが担当を越えて協力し合う風土があるという

明石 ガイアックスがターゲットとしているのは起業家人材です。本当なら就職せずに自分で起業するような自立的な行動力を持った人たちに対して、「事業会社で働く」という選択をしてもらうために、どのような戦略を持たれているのでしょうか。

木村 まず、ガイアックスの世界観をきちんと伝えるという部分にこだわっています。ガイアックスという場で、その人自身の持つ情熱をどれだけ発揮させることができるのか。そこのリアリティが何よりも重要だと考えています。

ダビドバ 例えば過去には、「半径1m以内の身近な暮らしを、できるだけサステイナブルにしたい」という夢を持つメンバーが家庭料理のカフェレストランを立ち上げました。ガイアックスにたくさんあるこういった実例を伝えることが、何より有用だと思っています。

木村 リモートワークの働き方にしても、海外に暮らしながらリモートワークをしているメンバーを登場させるなど、振り切った事例を出すことで差別化を図っています。

明石 ロールモデルとなる社員を紹介することで会社のカラーを発信しているのですね。

木村様インタビューカット

木村 当社には才能や個性を持った社員が大勢いるので、ブランド推進室としてはタレント事務所的な感覚で彼らの活動や人物像を世に発信していこうと心がけています。

明石 そのためにも、どこにどんなメンバーがいるのか常に社内にアンテナを張っておく必要がありそうですね。一般的には他部署の人に採用広報への協力をあおぐと面倒くさがられたり、恥ずかしいから出たくないと断られたりするケースも少なくないようですが、ガイアックスの場合はどうなのでしょう。

ダビドバ ガイアックスでは社員総会などの全社的な行事のほかに、仕事以外でもエンジニアの勉強会や懇親会、ボードゲームやヨガなど社員同士のコミュニケーションを生むイベントを開催しています。こうした場所での出会いを通じて、普段からお互いに良い関係性が構築できているので、みなさん動画制作には協力的です。誰かメンバーにスポットを当ててパーソナルブランドを作ると、「自分もこんなかっこいい動画を撮ってほしい」と手を挙げてくれたり、良いスパイラルが生まれますね。

明石 メンバーのタレント性を発信するなど、そういうカルチャーというか土壌はもともとあったものなのでしょうか。

木村 これは1999年の会社設立以来、変わっていないカルチャーです。社員一人ひとりの人生を輝かせること、それ以上に会社へリターンがあるものはないという考え方です。

「元社員の声」など客観性のある情報をオープンにしていく

社員紹介の動画
話題性のある社員を動画で紹介し、ガイアックスの持つ社風をリアルに伝えている

ダビドバ もう一つ、ガイアックスの特徴はアルムナイとのつながりが深いところです。研修会や合宿など社外の人やアルムナイも参加するイベントがあるのですが、そこで求職者の方とアルムナイとの間にコミュニケーションが生まれたりしています。

明石 アルムナイとこれから入社する人との間にコミュニケーションがあるのですか。これは非常に珍しいケースですね。

木村 新卒入社の人たちや就活中の学生に聞くと、会社が発信するどんな情報よりも卒業生の発信する情報が信頼できると言いますね。

明石 現役社員と違ってアルムナイの場合はネガティブな情報を発信する可能性もあります。そういった不安はないのでしょうか。

ダビドバ ネガティブな情報があるならば、むしろどんどん出して欲しいという感じです。ガイアックスでは、パブリックやプライベートに関わらずどんな情報もオープンにしてシェアしようということをポリシーにしているので。

明石 リスクがあるかもしれない情報もあえてオープンにすることで信頼を得る。素晴らしいポリシーですね。

長めの動画はYouTube、ショート動画はSNSなどメディアを使い分ける

ダビドバ様 インタビューカット

明石 私がメディアを作るときに重視しているのは「調達・加工・流通」です。このうち撮影方法や編集方法など「加工」、つまり技術的な部分は模倣が可能です。差別化を図るには「調達」と「流通」が重要。「調達」というのはネタ=素材で、「流通」はターゲットに届けるためのメディアとお考えください。ガイアックスの場合はロールモデルとなるメンバー自体が素材であり、流通に関してはYouTubeやInstagramなどのメディアを上手に使い分けされていますよね。

木村 YouTubeに関してはいろいろなバリエーションの動画を配信していますが、なかでも長く続けているのは代表の上田が起業家志望の学生や起業家を対象に開催している経営カレッジの配信です。配信当初は再生数が少ないコンテンツだったのですが、時間が経つにつれエンゲージメントの高い、熱いコメントが視聴者からつくようになっています。

ダビドバ 使い分けという話をすると、YouTubeでは経営カレッジをはじめ長めの動画を配信しています。ノウハウ的なコンテンツは視聴者が少ない反面、興味のある人は最後まで見てくれます。一方で会社の説明や不特定多数のターゲットに向けた情報は1分程度のショート動画をSNSで発信しています。短い動画はいろいろなSNSでシェアしやすいというメリットがあります。それぞれのSNSに最適な動画を、例えばTwitterやInstagramの専用コンテンツといったものを作っていこうと考えています。

木村 より細分化してターゲットにリーチしようという戦略です。そういった細やかな対応をするうえで重要なのはフレキシビリティーやアジャスタビリティー。そうしたものを重視すると、やはりインハウスでの制作体制が必須であると考えますね。クオリティはそれほど高くなくていいからスピード重視でとりあえずやってみようというとき、インハウスであればスタート時はヒットではなく、ファールにエラーでも許されますし。

明石 クオリティコントロールとスピード感を秤にかけてみても、現在はインハウスで制作した方がいいということですね。

「1分でガイアックスが理解できる」動画など、常にコンテンツを試行錯誤

木村様 授賞式カット

明石 動画を配信することで、具体的な採用成果はありましたか。

木村 PVやフォロワー数ももちろん重要ですが、最も気になるのは実際に入社した人たちにコンテンツが役立ったかどうかです。ヒアリングするとちゃんとみんな目を通してくれているみたいで、そこは励みになります。

明石 かつては会社説明会などすべてオフラインで行われていました。オフラインとオンラインの区別はどうされていますか。

ダビドバ 当社でも以前はリアルの場での会社説明会を開いていましたが、現在はそうした情報発信はすべてオンラインに切り替え、オフラインはコミュニケーション作りに特化したイベントのみとしています。

明石 さきほど、SNSごとの専用コンテンツを作るというお話をされていました。今後、他に予定されている施策はありますか。

ダビドバ 細かい話ですが、動画コンテンツでのインフォグラフィックスには力を入れたいと考えています。言葉にすると難しい話をイラストやグラフにして、ぱっと見てすぐに伝わるようにしていきたい。視聴者の理解をもっと早めたいですね。

木村 例えば動画コンテンツの中で、テキストで説明しているコンテンツをすべてインフォグラフィックスで見せることができたらいいですね。それこそ、ガイアックスという複雑な会社が1分で理解できる。そんなコミュニケーションスピードのものが理想です。

明石 お話を伺っていると、高い視座を持ちながら常にトライアンドエラーを繰り返し、SNSごとにターゲットに刺さる動画を発信してこられたことがわかりました。そこが今回の受賞につながったのではないでしょうか。今日はありがとうございました。

https://indeed-omrj.com/post-220
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